「革命」を起こそう コーチ 金田大樹
昨年より、九州大学サッカー部のコーチを務めています、金田です。
九大のサッカー部のブログで私自身が自らの考えを発信することはメリット・デメリット共にありかなり深く悩みましたが、九大サッカー部のOBOGの皆様や現役の保護者の方々、そしてこれから仲間になってくれるであろう新入生、そしてもっと言えば私が育った一橋大学サッカー部を含むお世話になった多くの方々にも、彼ら部員が今年本気で成し遂げたいと思っていることを自分がどのようにサポートしているのか知ってもらうことに意味があると考え、書くことにしました。
「主将に向いていないけれども、今ある環境を恵まれたものとポジティブに捉えなおし、自分らしいリーダーシップを発揮したい」(晃平)
「サッカーが好きという自分の気持ちに向き合えなかった高校時代と、大学最後の年に結果を残したい」(昇悟)
「サッカーを続ける理由を内省することで、自分がサッカーに向き合う意味付けをしている」(慧理)
私自身が九州大学サッカー部とともに闘う理由は、この3人だけではなくみんなのブログを読んでいただければ伝わっているかと思いますが、自分自身の紹介と目指していることを整理したブログにしていきたいと思います。長くなりましたがご容赦ください。
まず初めによく聞かれることですが、私と九州大学サッカー部のみなさんの出会いは"Facebook"でした。
仕事で福岡市内へ転勤になり、前の社会人チームを離れる決断をした後は様々な選択肢がありました。自分とサッカーについて日々考えている中で、改めて「大学サッカー界への貢献」や「選手でなく指導者としてのキャリア」を考えたときに、今自分ができることは国立大学でリソースに困っている学生チームの力になることしかないと思い、知り合いもいない中でFacebookアカウントをフォローしご連絡させていただきました。
私自身についてですが、私は2012年~15年に一橋大学ア式蹴球部に所属し、最後の年はGM(グラウンドマネージャー)としてチームを率いました。3歳からはじめたサッカーですので、大学でもサッカーをすることは当たり前、そんな中で高校時代の経験があり、「自分自身がより主体的にチームを率いて、勝利を目指せるチームで真剣にサッカーがしたい」と思い、国立大学を目指して入学しました。私にとってこの時大事にしていたことは、試合に出れることやみんなが努力して勝利を目指していること、などでサッカーのレベルではなかったので、当時は東京都3部であり指導者不在の中で取り組んでいる一橋大学を目標とし、無事合格してサッカー部に入部しました。(結果として、この「一橋大学ア式蹴球部に入る」という選択は多くの先輩方・同期・後輩との出会いを通じて、私にとって新しいサッカーの楽しみ方を教えてくれました。これを書くと永遠に終わらないので、気になる方は個別で対応します。)
特に4年時のGMの経験は非常に貴重で、実は人生で初めてサッカー部で「キャプテン」らしい仕事をしました。(正確にはキャプテンは別にいたのですが・・・)向いてない(というか逃げてきた?)リーダーという仕事をしたいと思ったのは、高校時代の後悔や大学1~3年時に出会ってきたGMや主将の先輩方の姿を見てでありましたが、実際に1年間を通して68人の将来を預かったものの、チームの目標である1部昇格を達成することはできませんでした。満足いかない結果だったのは未熟なリーダーである自分の責任であり、今でも当時のチームメイトには申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ただ、チームづくりのアプローチは間違っていなかったと思っています。それらは具体的に明示していたわけではないですが、当時の言葉を使いながら今振り返ると「人間性はピッチに反映する」「勉強で培った集中力をサッカーへの誠実さに変換する」「サッカー以外でも組織レベルを向上させて一体感を武器にする」「試合に出る出ないではなく、チームへの貢献をしっかりと認め一人一人に寄り添う」みたいな要素だったと思います。ただ、結果は出なかった。指導者のいるチームや高校時代の貯金でサッカーをしているようなチームに勝ち切ることができませんでした。
それでも私は頑固なので、このアプローチが正解だと今でも思っています。というか、このアプローチを世の中の常識にしていきたいと思っています。そのためには、過程を結果で証明する必要がありました。
なので私は、2年間指導者のいる社会人サッカーでプレーしたのち、昨年より同じ国立大学でサッカー部の「九州大学サッカー部」のみんなの活動を支援することを通じて、自分自身の社会価値を証明することに取り組み始め、今に至っています。
そして副次的に考えていることとして、「学生スポーツにおける指導者の必要性と供給方法」をもっともっと良くしたいと思っています。
大吾のブログにもあったけど、優秀な指導者にであうことで自分のサッカーのレベルや考え方は飛躍的に向上します。一方で、学生の自主自立の元のチーム運営はより責任感や実行力など精神的な成長を促すことを私は大学で学びました。長い目で見ると、今後はチームや個人のステップに応じて外部から与えるべき刺激をコントロールし、サッカー領域/非サッカー領域を問わず適切な介入でチームをより良くしていくアプローチが必要になるのではないかと思っています。
また社会環境として、教師の時間外労働の負担や部活動指導員に関する文部科学省の制度化など、学生スポーツ界にも人材不足の影響が今後も長く続くと予想される一方、多くの学生スポーツを経た人間はスポーツ界の最前線からは離れ「会社員」として平日を過ごし、土日は草サッカーにという生活の人が多いのではないでしょうか。
組織観点では、大学サッカーに対する現役学生の取組みは私がいた4年前ほどより圧倒的に進化し、各チームが独自の取組みで価値を生み出そうとしている様子がうかがえます。covid-19に対する反応なんか見ていても、本当に立派な学生組織が多いと痛感させられます。関東中心にチームには学生コーチも増え、さらには中退してプロコーチの道を選ぶようにまで多彩なキャリア形成がこれからはもっと進んでいくでしょう。
上記のような流れの中で、学生・チーム-支援者(企業・個人)のWin-Winのために、何か自分にできることはないかと考えています。各チームが自分たちに合う”おとな”と出会い、その刺激を通じて両者が成長し世の中が良くなる、そんな形を生み出せてたらいいし、私自身はそのベースをこのチームで作りたいと思っています。
今実は、私はこのチームに関わることによる報酬はいただいておりません。私の方からお断りさせていただいております。それは私自身が彼らに見合う価値を提供できていると思わないことと、何よりチームの財政事情を理解しているからです。ただし、私の後任や今後もっとチームを良くするために関わっていただく”おとな”には、しっかりと価値相応の報酬を支払いたいと思っています。そのためには、このチーム自体が価値を持ち、マネタイズできる仕組みをつくることが必要と考えており、現在スポンサー活動やチームの魅力・価値向上に向けたアドバイスをしています。本件でも多くの方に知見やアドバイス、意見交換をいただいたいと思ってますので、今後もしっかり検討していきたいと思ってます。
冒頭、学生みんなのブログに答えがあると書きました。
昨年からかかわってきた学生たちは、私の刺激以上に、自分たちの成長意欲やサッカーへの想いをうまく表現すべく、主体的に活動をデザインしてくれています。私が今、九大サッカー部の彼らと目指すアプローチは、彼ら自身の主体性を最大限発揮して自らの力で成長することです。変化には痛みが伴いますが、それを内的同意と内的リソースで乗り越えた先に、チームの飛躍的な成長があると確信しています。
「革命」とは、彼らが今年決めた”スローガン”です。チームに大きな変化をもたらし、成長を実現することで頃スローガンが正しかったかどうかが判断されます。Covid-19の影響で活動停止中の学生たちも、自らの発案でLINEによるコミュニケーション促進やフィジカル面での強化(食事・筋トレ)など主体的に活動を始めました。こういった活動の積み重ねで、自分たちの能力を高めること自体に私は学生スポーツの価値を感じているし、彼らに大きな期待を寄せています。彼らの想いを形にできるよう、私自身も成長して一緒に目標を成し遂げたいと思いますので、是非応援のほどよろしくお願いいたします。
九州大学サッカー部 金田
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