部員ブログ「高校3年間を振り返って」 波照間颯太

選手権に出る。その為に全てを注ぎ込んだ高校3年間は、僕にとって非常に刺激的で、思い出深いものとなりました。そしてそこで得た経験は、間違いなく今の土台となっています。そんな3年間を振り返っていこうと思います。

僕が東京の都立K高校(諸事情により学校名を伏せさせて頂きます。)に入学したのは2015年の4月です。6年も前のことになります。

K高校では、標準服はあったものの私服登校が許可されていました。また、渋谷と下北沢まで電車で5分ほどで行ける、かなりの好立地でした。サッカー部はというと、1学年約60人、全部員合わせて180人を誇る大所帯で、僕たちが中学3年生の時のK高校は、関東大会優勝という輝かしい成績を残していました。

キラキラと輝く学園生活と、3年間の青春の部活動に心躍らせて入学した僕たちでしたが、そんな期待は入学4日目、ちょうど2回目の部活動に参加した日に打ち壊されてしまいます。

入学して4日が経ち、少しずつ周りの子とも話すようになり、また部活動もこれからもっと頑張っていこうと意気込んでいた矢先のことでした。部活が終わり、グランド横の1年生が着替えるスペース、通称青空部室で着替えていると、気怠そうな顔をした2年生の先輩がやってきて、お前ら早く着替えて体育倉庫前に来い、と死んだ魚のような目で僕らを見ながら言ってきました。今思えばあれはこれから僕たちに起こるであろう悲劇に対して哀れんでいたのかもしれません。

そんな悲劇を知る由もなく、しかしどこか重苦しい空気を感じながら体育倉庫前に行きました。すると、ゾロゾロとイカつめな2年生の先輩方が出てきて、僕たちを取り囲んできました。体育倉庫裏からは、先輩方がおそらく倉庫を蹴っており、ゴンッ、ゴンッと鈍い音が響いてきました。そして開口一番に、お前ら調子乗ってんじゃねえぞ、と言いました。クローズさながらの光景に呆気に取られていると、制服の第一ボタンを留めていない人や、ワックスをつけている人、先輩に挨拶しなかったと言いがかりをつけられた人たちが前に呼ばれて怒られていました。あまりの恐怖で、こんな理不尽状況に声をあげようなんて考えは一切浮かばず、ただただ時間が過ぎ去ってくれることを願いました。髪の毛をワックスでガチガチに固めて先輩にガン飛ばした体のでかいA君は、先輩に体育倉庫裏に連れて行かれ、僕の後ろには泣き出してしまっている人もいました。あまりの恐怖で膝が震え、今にも崩れ落ちそうなのを必死に耐えました。

先輩たちはひとしきり怒り、その後部の規則を伝えたら、帰って行きました。30分くらいでしたが、地獄のような時間でした。

後からきいたのですが、これは新入生の気を引き締めるためにやる伝統行事だったそうです。体育倉庫裏に連れて行かれたA君も、裏では先輩はちょっと優しかったと言っていました。

最悪な形で幕を開けてしまった高校生活ですが、しばらく経ったら先輩たちは優しく接してくれるようになりました。選手権出場の夢は叶わず、またスタメンを勝ち取ることもできませんでしたが、様々なことを経験し、人として成長できたと思います。ここでの経験を糧に、今シーズンも頑張って行きたいです。

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