サッカーにおける「楽しい」の意味と意義 浅見昂志
こんにちは。浅見昂志です。
サッカーをしているとしばしば「楽しい」という話題が挙がります。
ある人は「楽しめ!」と言い、ある人は「勝つためには楽しさを捨てなければならない!」と言います。また、ある人は「楽しくないから頑張れない」といい、一方である人は「頑張ってないから楽しくない」と言います。そして「結局どっちやねん」と思う僕がいます。
そこで今回は大学サッカーにおける「楽しい」ことの意味と意義について考えていこうと思います。
「楽しさ」は以下の二つに分類できます。
①終わった後に感じる楽しさ
②やっている最中に感じる楽しさ
僕らは①の時“没頭”し、②の時は“創造”してます。
没頭
図1(フロー体験 喜びの現象学より)
図にあるフローチャンネルとは、フロー つまり没頭することができる範囲です。このように、没頭するためには、挑戦と能力がお互いを高め合う地点にいる必要があります。挑戦の難度は個人レベルかチームレベルか、短期的な挑戦か長期的な挑戦かによって変わります。
今A2の位置にいるなら、挑戦の幅をチームレベルに広げ、チームのために何ができるかを考える必要があります。また、挑戦の奥行きを現在だけでなく先の将来まで広げなければなりません。チーム全体や今後のことまで考えれば挑戦の抽象度はあがり同時に難度も上がります。その結果A4に近づき没頭できます。逆に、A3にいるなら全体から逆算し個人でできることを探します。また、長期的な目標から逆算し今できることを探します。そうすることで、挑戦の具体度をあげ、着実に能力を伸ばし、A4に向かって前進できます。
サッカーにおける挑戦とは「勝利」です。各個人が勝利と向き合いA4の没頭状態に入ったときの言葉に言い表せない空気感。僕らはそれが楽しくて仕方がないのです。
創造
サッカーは事前に未来を予測しづらい構造をしているため「創造性のゲーム」と言われます。したがって、現象を認知し状況を判断し、良い局面を創ることが勝利につながります。一つの創造が試合を決めることは珍しいことではないのです。故に、創造は「勝利」のために不可欠なのです。
勝つために練習したこと、勝つために考えたこと、勝つために考えてたらとっさに浮かんだアイディアをうまくピッチに創り出せている時。僕らはこの瞬間、瞬間を楽しんでいるのです。
没頭はチームの一体感を生み、創造は個性を際立たせます。いうまでもなくそれらは「勝利」に不可欠な要素です。つまり僕たちは勝つために没頭し、創造しなければなりません。一方で、「勝利」という挑戦がなければ没頭することはできないし、創造の価値は小さくなります。要するに、楽しむためには「勝利」を追求しなければならないのです。
「試合に勝つために没頭し創造する」
僕らはこれを「サッカーを楽しむ」と呼んでいるのです。
参考資料
note
河内一馬「蹴球症候群」
井筒陸也「敗北のスポーツ学」
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